読書の秋! | ランチ番長

読書の秋!

秋の夜長に、長く重いテーマの本を読むのもいいですが、息抜きに児童文学はいかがでしょうか。
私はとにかく本が好き。活字中毒と言っても過言ではないので、時間があれば本を読んでしまうのですが、普段読む本はサスペンス、ミステリー、それと平行してマンガ感覚でファンタジーや児童文学を読みます。
大人になってから、児童文学を読んだこと、ありますか?
ホンモノの児童文学は、大人になって初めてその真意がわかるものだと思います。


バリ島のテロが再び起きてしまったことは、私の心を深く傷つけました。

なんでこんなことが起きるんだろう。
こんなことが何になるんだろう。

その現実を変えるために、私は何も出来ないですが、昔、同じような局面に立たされた時、立ち上がった人がいます。

エーリッヒ・ケストナー。

彼はナチスドイツ時代の人物です。
元々は新聞記者でした。
しかし、毎日くり返される残虐なユダヤ人狩り。
いったい彼等が何をしたというのか。
このことに疑問を持った彼は、毎日日々の現実に晒されている大人を変えるのは難しい、だけど今いる子供たちのためにも、この子供たちが大人になるまでには社会を変えなくてはダメだ、と考え児童文学を書きはじめました。
力のある人間の言いなりになるのではなく、自分で善悪を判断できる人間を育てなくては、と。

ケストナーの作品は、そんな暗い時代のことは微塵も感じさせない明るく楽しい話ばかりなのですが、大人の間違いを子供達が子供達なりに疑問を持ち、解決していくお話ばかりです。
どうして大人が間違ってしまうのか、ということも含めて物語りが進んでいきます。

ケストナーの作品に危険を感じたヒトラーは、彼の作品を発売禁止にしています。
それでもケストナーは、自分の命が危険に晒されているにも関わらず、子供達に自分で考える力を持つ人間になって欲しいという願いをこめて、他国の援助を借りながら、作品を海外で出版しています。

こんな話を書くと、一気に重い感じの本ですが、ケストナーの作品は子供達が生き生きと描かれていて、ちょっといたずらもしちゃうけど、でも根はみんな素直ないい子、って感じでまさに、理想の子供時代のお話ばかりです。

『点子ちゃんとアントン』と『飛ぶ教室』は本国ドイツで、『ふたりのロッテ』はディズニーが映画化しています。
『エーミールと探偵達』も随分昔に映画化されたようですが、残念ながらDVD化はされていないようです。

私の特におすすめは『点子ちゃんとアントン』。

エーリヒ ケストナー, Erich K¨astner, 池田 香代子
点子ちゃんとアントン


お金持ちの女の子と、貧乏な男の子のお話です。
天真爛漫な点子ちゃんが大親友アントンのために孤軍奮闘立ち上がるとってもキュートな物語り。
映画のほうは、設定を現代に変えつつも、点子ちゃんのキュートさはそのままで、見ていて気分爽快です。

読書の秋に、なが~~くこ難し~~い長篇を選んでしまったら、息抜きに是非是非読んでみてください。